世界で最も退屈なblog

アイロン台の横を通り過ぎる

私は部屋を出て、アイロンがけするためにだしてあったアイロン台の横を通り過ぎた。次に部屋に戻ってきた時、私はもう一度アイロン台の横を通り過ぎた。

とか、

明かりのスイッチを操作する

私はリビングルームに入り、明かりのスイッチを押した。そうして、明かりはオンになり、私は私がしていることが見えるようになった。しばらくして、私は再び明かりのスイッチを押して、部屋を後にした。明かりは消えていた。

みたいな記事が延々と書き込まれているblog。おかしいんだけど、どこか寂しげ。

なんでもないものが、なんでもなくごろんところがっていて、なんでもないものと、なんでもないものとの間に、なんでもない関係がある。なんでもないものが、何故此の世に出現したのか、それを問おうにも問いかたが分らない。なんでもないものは、いつでもどこにでもさりげなくころがっていて、さしあたり私たちの生存を脅かさないのだが、なんでもないもののなんでもなさ故に、私たちは狼狽しつづけてきた。

谷川俊太郎 「なんでもないものの尊厳」)