腕を送る男・森の死体

二人の男が殺し屋を雇う。殺し屋は、依頼どおりに仕事をこなす。死体はバラバラにして殺害現場から少し離れた湖のあちこちに沈める。しかし、特徴のある刺青の入った腕だけは、証拠として二人のうちの一人に送る。

男の家に小包が届いた。注意深く男が包みを開けると、中には人間の腕が入っていた。男は腕を検分すると、再度、注意深く腕を包み直し、別の男のところへその包みを送った。

翌週、包みの届けられた第二の男は、包みを開け、第一の男と同じように、腕を検分した。第二の男は満足げな表情を浮かべ、その腕を持ったまま家の裏の森へ出かけ、丁寧に穴を掘り、腕を埋めた。

二人は殺し屋への礼金でもめる。腕を処分するという危険を冒した男は、もう一人の男が多く支払うべきだと主張する。一方の男は、相手の言い分を認めたふりをし、そのまま姿をくらます。

腕を埋めた男は、礼金を一人で背負い込む羽目になる。その額は莫大なもので、とても一人で準備できるような額ではない。困り果てた男は、殺し屋に自分の支払い分だけを渡し、もう一人から取り立ててくれと頼む。

「俺の支払い分はこれだけだ。残りは奴が払う。」
「なるほど、そういうことなら仕方がない。」

殺し屋は姿をくらました男に支払わせる最も手っ取り早い手段をとる。すなわち、腕を埋めた男を殺し、新聞に大きく取り上げられるような異常な状況、しかも「貴様も湖に沈みたいのか」というメッセージを伝える装飾を死体に施して、森を立ち去る。

森の中で、シュノーケルをつけ、水泳パンツを履き、水中眼鏡と足ヒレをつけた男が死体で発見された。周囲に泳げるような処はない。一番近い湖まで6マイル、一番近い海までは100マイル離れている。

森は暗く、腕を埋めた男の滑稽な死体を静かな闇の中に包みこむ。